テレビ電話
兄さんに、アフリカから、宇宙中継でテレビ電話がかかってきた。
テレビスクリーンに出てきた人の顔を見て、みんなはびっくりした。色の真っ/な/人だったからだ。
/人は、真っ赤な口をぱくぱくとあけて、なにか、一生懸命にしゃべる。だが、なにを言っているのか、さっぱり分からない。
兄さんは、英語で聞き返した。しかし、/人は首をかしげ、いっそう早口になって、わけのわからない言葉を捲くし立てる。
お父さんがフランス語で試してみた。したし、それもだめ。兄さんが、あまりうまくないドイツ語で、話し掛けてみたが、これまた、むだだった。その/人は、その国語のどれも習ったことがないらしいのだ。
「よわったな……。この人の言葉は、どうやら、アフリカのスワヒリ語らしいけど、僕は、アフリカ語は弱いんだ。」
「私もだめだな。インドネシア語なら、少しは分かるんだが。」
お父さんも首をひねった。
/人も、弱ったような顔で、こっちをながめている。
すると、ママがふと思い付いたように、ホーム電子頭脳の前に寄り、マイクを取って話し掛けた。
「あなたの記憶装置には、アフリカの、スワヒリ語は記憶されていたかしら?」
ホーム電子頭脳の信号ランプが二、三回、ぱちぱちと瞬いたかと思うと、スピーカーから気持ちのいい男の声が流れてきた。
「ハイ。アジア、アフリカ語ハ、二十か国語ガ、キオクサレテイマス。スワヒリ語モ、ホンヤクデキマス。」
「それはありがたい。」
兄さんが躍り上がって言った。
「それじゃ、いまテレビ電話に出ている人の言葉を通訳してくれ。」
「カシコマリマシタ。」
兄さんは、ホーム電子頭脳のダイヤルをひねって、テレビ電話と連絡した。それから、テレビ電話に向って言った。
「もし一度初めから話してください。今度は分かったでしょう?」
すると、/人の顔がぱっとうれしそうに輝いた。
もちろん、今度は兄さんの日本語は向こうには、スワヒリ語に通訳されて聞こえたのだ。
と思うと、スピーカーから流暢な日本語が響いてきた。ホーム電子頭脳の翻訳回路がスワヒリ語を日本語に通訳したのだ。
「私は東アフリカ共和国のロンボクというものです。いま日本東都大学に留学しているメケメケのいとこです。
「そうか!メケメケならば、僕の親友ですよ。」と兄さんは大きく頷いて言った。
「それで、メケメケとは連絡が取れたんですか。」
ロンボクは困ったような顔になった。
「それがだめのです。東都大学の留学生会館に電話したんですけど、留守なんです。それで、一番のお友達のあなたならば、行き先が分かるかもしれないと思ってお電話してみたんです。」
「ああ、それなら分かりますよ。」
兄さんは急き込んで、「メケメケはいま南極市へ行く途中なんです。今ごろは南極行きのロケット機に/っています。」
「それは困った……。どうして連絡を取ればいいでしょう?」
ロンボクが眉をひそめて言った。
「大丈夫ですよ。この電話を切って少し待ってください。いまこっちからそのロケット機にテレビ電話をかけて、メケメケを呼び出し、そっちへ電話するように言ってあげます。」
ロンボクが顔を輝かして頷いた。
ファンクション用語
提案
A 今晩、劇映画があるそうですが、いかがですか。
B あれ、面白そうじゃありませんか。
A 一緒に見に行きませんか。
B ええ、行きましょう。
A じゃ、晩ご飯は簡単にしたらどうでしょう。
B いいでしょう。
