(4) 言語は人間に与えられた最上で最良の贈物であって、その贈物の大部分は本を媒介として人間に示されているんですね。本にまさる媒介物は将来も現れないでしょう。ですから、本の/命は厳しいなんてことを言う人もいますが、僕はそうは思わない。断言してもいいんですけど、本は絶対になくならない。本がなくなる時、書記言語のなくなる時です。その時、人間はたぶん別の生き物になっているでしょうね。
(井上ひさし「本の/命」による)
(注1)媒介:二つのものの間に立って、関係をつけること
(注2)書記言語:書かれた言葉
問(1) 筆者は、なぜ「本は絶対になくならない」と考えているのか。
1.本だけが人間の言葉を正しく伝えるものだから
2.人間の使う書記言語はいつかなくなるものだから
3.本の/命が厳しいというのは一時的なものだから
4.本は人間にとって、言葉を伝える最もよい手段だから
(5) 日本人は「察し合い」の会話をすると言われている。「察し合い」とは、言葉で表現されなくても相手の気持ちや状況を想像してお互いに理解し合うことである。次のグラツは文化庁が2002年1月に行った世論調査で「察し合い」の会話についてたずねた結果である。
それによると、「ア:これからも察し合いの文化を伝えていくべきだ」と考えている人は少なく、どの世代も20%未満で、40代が最も少なかった。また、どの世代も 10-20%が「イ:誤解を招くこともあるので、相手に「察し』を期待しない方がいい」と考えており、「ウ:これからは、きちんと言葉に出して言うべきだ」と考えている人 がさらに多いことを考えると、これからは「察し合い」の会話が減っていくのではない かと思われる。
40代、50代では約40%が「ウ」と回答しているが、「ア」の回答数と合わせて考える と、「察し合い」の会話に一番否定的なのは40代だと言えそうだ。
それに対して、10-30代では「エ:相手や状況によって、察し合いの会話をするかど うか使い分けるといい」という回答が一番多かった。
ア=これからも察し合いの文化を伝えていくべきだ
イ:誤解を招くこともあるので、相手に「察し」を期待しない方がいい
ウ:これからは、きちんと言葉に出して言うべきだ
エ:相手や状況によって、察し合いの会話をするかどうか使い分けるといい
問(1) 文章の内容とグラフが合う組み合わせはどれか。
1.A:ウ B:エ C:イ D:ア
2.A:ウ B:工 C:ア D:イ
3.A:工 B:ウ C:イ D:ア
4.A:エ B:ウ C:ア D:イ
