(2) グラフを見た時の印象1ま何によって決まるのでしょう。グラフは表や文字と比べると、 よリビジェアル性の高いものです。グラフの第一印象は数字ではなく形で決まります。
(中略)
①二つのグラフを見て下さい。二つの企業の最近4年間の売上を示したものです。右の企業は成長が著しく、左の企業の伸びは鈍いように見えます。本当にそうでしょうか。実は二つのグラフはまったく同じ数値を表にしたものです。。 数値は左から10、11、12、13と推移(注2)しています。右のグラフは縦軸の日盛りが9から始 まっています。ー方、左のグラフは、目盛りは0から始まっています。もう一度二つのグラフで確認して下さい。
同じ数値を表すグラフでも正反対の印象を与える場合があります。どうしてこうしたことが起こるのでしょう。それは人が( ② )からです。この場合には棒グラフですから棒の長さに注目しています。棒の長さを比較すると右のグラフは棒の長さの差異が激しい。それに比べて左のグラフは長さの差異がそれほど大きくない。この達いが印象の違いになります。
このことからわかるように③グラフは数値忠実に翻訳したのでありなせん。数値は客観的な事実ですが、グラフは客観的な事実を表現しないのです。数値をビジュアル化する過程で作り手の主張が反映されます。客観的な事実のみを示すならば表で表現すべきです。グラフでは作り手に主張がなければ伝えたいものと正反対の印象を与えてしまう可能性さえあります。
主張を確実に伝えるために、初めに自分が何を伝えたいのかを明確にします。そしてその後にそれに合わせた形でグラフを作成します。最初にメッセ?一ジありきで、グラフはその裏付け(注4)の道具なのです。
(飯田英明『「図解表現」入門』による)
(注1)ビジュアル:目に見えること
(注2)推移:移り変わること
(注3)メッセージありき:メッセージがあった
(注4)裏付け:事実であることを証明する証拠
問(1) ①「二つのグラフ」はどのようなことを示すために出されているか。
1.人はグラフグ形ではなく、数字から情報を得ていること
2.同じ内容を表すものでもグラフの作り方で印象が変わること
3.グラフの日盛りは0から始めなければ正確な情報は伝わらないこと
4.伸びが著しいか鈍いかは、人間の印象によって変わるので意昧がないこと
問(2) ( ② )に入るのは次のどれか。
1.グラフを形で見ている 2.グラフを数値で理解している
3.グラフをあまり信用していない 4.グラフをいろいろな角度から見ている
問(3) ③「グラフは数値を忠実に翻訳したものではありません」とあるが、それはなぜか。
1.グラフでは、わずかな数値の差が表しにくいから
2.グラフの中には、正しい数値が書かれていないことが多いから
3.数値をグラフにするとき、グラフを作る人の考えで形が変わるから
4.数値をグラフにするとき、少し数字を変えてしまってもわからないから
問(4) 筆者はグラフを作ることに関して、どのようなことをすすめているか。
1.自分の考えを明確にするために、まずグラフを作ってみること
2.数値を客観的な事実として示すことができるようなグラフを作ること
3.自分の考えをはっきウさせてから、それを的確に伝えるグラフを作ること
4.自分の主張に合わせるため、時には事実と反対の印象を与えるグラフを作ること
