応用文
忙しい毎日
朝七時半、市内へ向かう道路は、通勤の車でもう込み始めている。今日一日のストレスの始まりだ。この間のように高速道路で事故でも起これば、会社に着くのが一時間以上は遅れてしまう。そんなことを考えているといらいらし、ついたばこに手が行く。そうだ、医者に早くたばこをやめるように言われていた。信号で止まった。鏡に映った後ろの車の男もたばこを吸っている。彼もやっぱりストレスで胃が痛むことがあるのだろうか。
今日も急いで出かけてきた。起きるとすぐ、トーストにコーヒーの簡単な朝食を済ませ、朝刊にさっと目を通し、家を出る。子供たちはまだ昨日の晩帰ったときと同じようによく眠っていた。子供たちの顔がゆっくり見られるのは一週間に一度ぐらいしかない。それなのにその大事な休みの日さえも会社のゴルフなどでなくなってしまうことが少なくない。
昨日も忙しい一日だった。午前中は、いろいろな手紙やレポートなどを読んだりして終わってしまった。午後は昼食をとりながら会議が一つ。客と契約が済む。次にまたほかの会議。事務所での仕事はこれで終わりだった。五時半、部長の代理で「中小企業 青年経営者セミナー」の会議に出るため、会社の近くのホテルへ行く。会議の途中で、約束のあった客を迎えに部下と一緒に駅へ向かう。客に会って食事をし、その後はいつものネオン街へ。接待は嫌なものだ。本当はやりたくないのだが、これも商売をうまくやるための一つの潤滑油なのだからとあきらめている。十二字近く、客をタクシーに/せ、自分も別のタクシーを拾った。タクシーを拾うのにひどく時間がかかった。みんなが競争のようにしてタクシーに/っていく。家が遠いのはだれでも同じなのだ。三年前に都心から電車で一時間半ほどの所にある一戸建ての公団住宅が当たって、やっと手に入れた家に向かう。会社に近い社宅に住めばずっと便利なのだが、子供たちを少しでも広い所で育てたいと思うと、これも我慢しなければなるまい。今の給料では家のローンを払うのも大変だ。この物価高の世の中、家族を支えていくのも楽ではない。この間買った宝くじでも当たればなあ。——午前一時前やっと家に着いた。妻の出してくれた茶漬けをすする。一日で一番落ち着く時間だ。しかし、これだけでは十分なストレス解消にはならないのだが。
…おっと、後ろの車がクラクションを鳴らしている。信号は青に変わっていた。おいおい、お互い様じゃないか。そんなにいらいらしたところで早く行けるわけじゃない。さあ、今日も一日がんばろう。
ファンクション用語
謙遜
朱:黄さん、きょうのスピーチ、すばらしかったですね。私なんかとてもできませんよ。
黄:そんなことないよ。
朱:いえ、本当に勉強になりました。
黄:そんなに言われるとてれちゃうなあ。
朱:その準備はたいへんだったでしょうね。
黄:いや、それほどでもないよ。
